「はぁ…疲れたぁ……」
こんにちは。数日前に何故かスパロボAの世界にやって来て、何故か訓練を受ける羽目になった女子高生です…。
誰が言ったか知らんけど、「どうせなら3人組と一緒にあたしも訓練させよう」ってな訳で、先刻まで鬼教官なノインさんにしごかれました。
まぁ、いいけどさ。余計な事考えなくていいし。それにムサいおっちゃんよか、美人にしごかれた方が精神的にまだマシだし。でも、疲れるもんは疲れんだよなー……。
奪還! 難民船と可愛い娘
〜目の保養は必要だと思うの〜
さて、ロンド=ベル隊に保護されてから、あたしはしばらくこの艦の管轄下に置かれることとなったんだけど、その際にケーン達Dチームと訓練をすることとなった。このご時世、戦える力があるならそれを有効に利用するしかない、ってことでそうなったんだけど。
あ、「このご時世」と言っても何のことか分からないよね。あたしも詳細は分からないんだけど、昨日この世界で何が起こっているのかってのをアムロさんから聞いたんだ。もっとも、スパイ疑惑があるから大雑把な戦況しか教えてもらえなかったけどね。
今の地球圏は地球連邦軍、ギガノス帝国、ジオン軍、それから異星人軍に地底帝国といった勢力が存在しているらしい。
地底帝国はミケーネ、恐竜帝国といった面々で、異星人軍はキャンベル星人、ボアザン星人、バーム星人、といった所。
ギガノス帝国ってのは、月にその本拠地があって、話を聞く限りじゃあ1stのジオンみたいな独裁国家みたい。使ってるのはMSじゃなくて、『メタルアーマー』っていう機体らしいけど。
なんでも、『増えすぎた人類の統制の為には戦争すべきだ』って思想をモットーにしてるらしいけど……あたしからすりゃあ、そんなの単なる屁理屈に聞こえる。それはあたしが今まで平和な日本で生活していた第三者だから、そう言えるのかもしんないけど。
で、地球連邦軍はというと、敵対する所が多過ぎて大半は身動きがとれないらしく、身動きがとれるのはこの独立部隊ロンド=ベルぐらいらしい。
更に、「ナデシコ」の敵とかシャドウミラーもいるから、結構複雑な世界かも。いや、αシリーズ程じゃないにしろさ。
それから、これは訓練前に言われたのだが、Dチームが言っていた難民船アイダボは合流時間の関係で救出するのはできないらしい。それを聞いたケーンはやっぱり不満らしく、ノインさんに激しく抗議した。二人もケーン程じゃないにしろ、かなり不服のようだった。
「偵察部隊相手とは違う。メタルアーマー初心者が行っても、返り討ちにあうだけだ」
…というのがノインさんの言い分で、それは確かに正論だ。
けど、それであの3人が簡単に諦めるようには思えない。ていうか、ノインさんの目を盗んで助けに行きそうだよなぁ…。
そんな事を考えながら、シミュレーターの訓練で掻いた汗を流すべくシャワー室へ向かっていると。
「あれ、ケーン、タップ、ライト。どうしたの?」
ぞろぞろと移動する3人組に声をかけると、彼らは一斉にこちらに向いてぎょっとした。
「お…お前なんでここ、に?」
「いや、これからシャワー室に行こうと思って。で、君達は何してんの?」
「ああ、ちょっと格納庫に用があってな。マギーちゃん達のチェックもしたいんでね」
と、にこやかにあたしの疑問に答えたのはライト。それに続いてケーンとタップもコクリと頷く。
……なーんか怪しいなぁ。
「…まさかと思うけど、こっそり抜けてアイダボとやらを助けようとしてる?」
そうカマをかけてみると、ケーンは不自然なくらいに肩をピクリとさせた。なんて分かりやすい反応なんだ。
「やっぱり。」
「…なんだよ。俺達を止めるつもりかよ?」
「止めようとしても無駄だぜ」とでも言いたげな瞳のケーンに、あたしはふとあることを思い立ち、ふるふると首を左右に振る。
「どうせ言ったって聞かないでしょ。それよか頼みがあるの」
「頼み?」
「そっ。あたしも連れてってほしいの。『ギガノス』ってのがどんな連中か知りたいし」
半分は本音である。OG2だったらまだしも、Aはプレイすらしてないし、しかも「ドラグナー」が参戦してるスパロボをまだやってないのだから、情報が欲しいところなのだ。もう半分は、ケーンが惚れ込んでるっぽい『リンダちゃん』にも会いたい、という好奇心からだ。
「ちなみにもし断るなら、美人教官ノインさんに無断外出を報告するつもりなんでヨロシク」
「……俺達に拒否権はない訳ね」
その言葉に「そーいうこと」と、言い切ると、ケーンは観念したように小さく息を吐いた。
「しゃあねぇ…、その条件飲むぜ。だけどリンダ達を助けるのが第一だぞ?」
「ありがと。それじゃあ行くとしましょうかっと」
かくて。あたしはDチームのアイダボ救出作戦(仮)に参加することになったのだった。
所変わってここはギガノス基地の格納庫。あたし達4人は半ば強引にアーガマを飛び出し、この場所に難なく侵入していた。
「内部に入りこんじまえば、こっちのもんだ」
「しかし、こんなに簡単にいくとはね」
「D―3ちゃんの力を見くびってもらっちゃ困るね」
感心するタップに対し、「この程度は朝飯前さ」とでも言いたげに余裕の笑顔を浮かべるライト。
うーん、正直言って敵に出くわすかな、とか思ってたけど、D―3ってすごい性能なのねえ。
…まぁ、ヴァイサーガもジャミングが働いてるから、なおさらなのかもだけど。
「どうした? ここまで来て怖くなったなんて言うんじゃねえぞ」
先刻から黙りこくっていたあたしが気になるのか、ケーンが通信機ごしに話しかけてくる。
「…大丈夫、腹はもう括ってるよ。それより、どうやって難民船の人達を助けるの?」
「ちょっと待ってろ」
言って、ライトはD―3のコンピュータを手際よく操作していく。
「……よし、この基地のコンピュータと繋がった。ええと…アイダボと、避難民達のいる場所は、と…。ほれ、見つかった」
その言葉と同時にデータが転送され、この基地の見取り図と、いたる地点で点滅している反応が映しだされる。多分、この反応が避難民とか兵士とかの、生体反応ってヤツだろう。
「よし、俺達は中で皆と接触する。ライトはここでコンピュータにニセ情報を流し続けつつ、俺達を誘導してくれ」
「OK、任せとけ」
ケーンが意外にも的確な指示を出し、そしてあたし達は行動に入る。アイダボ救出作戦が開始された。
ライトがD―3で情報操作をしている間にあたし、ケーン、タップは更に奥へ進み、避難民の人達を発見、それからアイダボまでの誘導を行っていた。
「くそっ…リンダが見えねえ!」
アイダボへの誘導が半分近く済んだ所で、ケーンが憤りをぶつけるように拳で壁を殴る。
「ケーン、落ち着けよ」
「これが落ち着いていられるかよ!」
タップはなんとかケーンを諭そうとするが、平常心を忘れている今の彼には、まさに馬の耳に念仏だった。
「ケーン…ちょっ…」
「悪い、二人共! リンダを探しに行ってくる!」
「ちょっ、待っ…」
ケーンを宥めようと声をかけたら、一人で勝手に決断したようで、止める間もなく基地の奥に駆け出した。
「……行っちゃった…」
「相変わらずリンダちゃんの事になると、周りが見えなくなるねぇ。あいつは」
「…一人で行かせて大丈夫なの……?」
「あいつの事だ。すぐにリンダちゃんを連れて来るさ」
「心配ご無用って訳?」
という、あたしの言葉に迷わず即座に肯定するタップ。
…この様子なら、どうやら本当に心配なさそうだね。
「判った、ならあたしもケーンを信じるよ!」
「よし、それじゃあ早く皆を誘導しちまおうぜ!」
一瞬、「合点でいっ!」と返そうと思ったが、ツッコまれなかったら哀しいので、普通に返事を返すあたしだった。
───20分後。
「ケーン、コッチだ。早く早く!」
通路の奥からこちらに走って来るケーンに、タップが右手を大きく振って呼び寄せる。ケーンの後ろには、長い金髪の女の子がついて来ている。
…もしかして、あの人がリンダちゃん? うわ、美人さんだなぁ…。
「タップ、、どうだ、そっちの方は?」とケーン。
「バッチリだぜ。ライトの流したニセ命令で避難民は全員アイダボに乗船させた。後はここから、どさまぎに脱出するだけだ」
「「どさまぎ?」」
聞き慣れない単語に、同時に首を傾げるあたしとケーン。
「どさくさに紛れてってこと」
「すごい省略したなぁ」思わずぼやくと、
「待って!」
繊細な、けれど凛とした女性の声が後ろからかかり、あたし達は一斉に振り向く。年頃は20代前半といった所だろうが、どことなく普通の人間とは違う「オーラ」を纏わせている金髪美人。
……って、あなたは、あの『軟弱者っ!』のセイラ=マスさんじゃありませんか!! 何、Aにはセイラさんもいるの!? うわー、うわー、ちょっと感激だよ!
と、 一人心の中で興奮しているあたしを余所に会話を続けるセイラさんとケーン。
「ファが別室で尋問を受けているの。その娘も一緒に」
「ファって、確かあの護衛にいた連邦軍の娘か?」
ファ……って、あのファ=ユイリィ? うわ、今日はホント、可愛い娘のオンパレードじゃあないの!
「あっ、それじゃあ、あたしがそのファって人を探してくるよ!」
「大丈夫かよ」
真っ先に言うあたしに心配そうに訊ねるタップ。あたしは胸をドンと叩いて、
「まーかせて! 二人はこの金髪美人さん達を連れて、アイダボの護衛をしてちょうだいな」
「待って。あなた、ファの顔を知らないでしょう?」
「だいじょぶだいじょぶ、どんとうぉーりー! こんなむさ苦しい基地から、女の子を見つけるなんて簡単よ! ってな訳で、行ってくるね〜!」
某情け無用な始末屋風に「イエイ!」親指を立てて言い、あたしはケーン達が来た方向へ走り出す。
「気をつけろよー!」
背中にケーンの声がかかり、あたしは走ったまま手を振って返事した。
「えーっと…ファは何処にいるんだろう…?」
ギガノス基地内の通路を駆けながら目当ての少女を探すけど、一向にそれらしい影すら見当たらない。
「そこの女、何をしている!」
…ヤバいっ、見つかった!
あたしは舌打ちをしつつも、現れたギガノス兵との間合いを一気に詰めて顎にアッパーをくらわせた。その兵士はそのまま背中から床に落ち、動かなくなってしまった。
…って、手応えないわねー、軍人のくせに。肩慣らしにもなんないじゃん。いや、強すぎても困るけど。つか、子供の頃から習わされた格闘技がこんな形で役立つなんて、人生何が幸いするか判んないよなぁ…。
うんうん、と思わずあたしは物思いにふける。
…やっぱり一人で来て正解だったかも。兵士を一人で張り倒してるの見られたら、余計に怪しまれそうだしなぁ。
「捕虜が逃げたぞ!」
遠くからそんな叫び声が聞こえ、すぐに我に返る。
声がした方向を見ると、黄色く、しかも露出がちょっと多い服を着た黒髪の女の子が走って来た。こちらに近付くにつれ、顔立ちがハッキリしてくる。間違いない、あの娘はファ=ユイリィだ。探す手間が省けたわ。
「ファ=ユイリィさん、こっちだよ!」
両手を振って大声で呼ぶと、彼女はすぐさまこっちに気付き、やってきた。
……って、うわぁ…細っ! スタイルいいなぁ…!
「あなた…どうして私の名前を…?」
「…あー……セ、セイラさんから聞いたの。あっ、あたしは。一応ロンド=ベル隊にお世話になってるの」
「ロンド=ベル隊? ちょうどよかった。私もそこへ行く所だったの。その途中、ギガノス軍に…」
「あー、ストップ。話は逃げた後でじっくり話して。今は逃げるのが先よ」
ホッと胸を撫で下ろして説明しようとするファさんにストップをかけ、脱出を促す。
そしてファはデッキに(こっちに自分のモビルスーツがあるらしい)、あたしは格納庫までダッシュで戻り、機体に乗り込んで外のDチームと合流した。
ちなみにリンダちゃん&セイラさんは、Dチームがアイダボに乗せたらしい。
「へへっ、奴ら、ようやく気がついたみたいだぜ」
基地から離れた所でも基地の混乱が判り、タップがそう口にする。
「アイダボはとっくに脱出したし、俺達も退散しようぜ」
「でも、あちらさんはそのつもりはないみたいだぜ…!」
そのライトの言葉通り、基地からギガノスのメタルアーマーが現れ、あたし達はあっという間に囲まれた。
「四面楚歌ってやつだな…」あたしは呟いて、できる限り頭を回転させて考える。
こーいう場合はー…っと、いっぺんに戦おうとすると、消耗が激しくなるし…しかもコッチには補給の手段もないからー……。
「おし、そんじゃあ戦力を一点集中させて突破しよう!」
「おいおい! いつからお前がリーダーになったんだよ」
「いいんじゃないの。ここはあのお嬢さんに任せようぜ」
提案するあたしに何故かケーンが文句を言うが、タップがフォローの言葉をかける。緊張感ないなぁ…! 今更だけど。
「私の機体には修理装置が搭載されているわ。援護は任せて!」
「お、いいねぇ。ファさんだっけ? 戦場に輝く白衣の天使って所か」
機体の説明をするファさんに対し、なんだか恥ずかしいような台詞をおっしゃるライト。
…機体の色は黄色いけど…ってツッコミは禁句かしら?
とか何とかやってる内に、あたし達を囲んでいたメタルアーマーが向かってきた!
「…ッ! 当たっちゃった…!」
敵が撃ったハンドレールガンがヴァイサーガに当たり、衝撃が身体にくる。
「やられた分は倍返しさせてもらうからねっ!」
言ってあたしは、ヴァイサーガのシステムを本起動させて臨戦態勢を取ったのだった。
→To be continue…
ただいまOGSで2をプレイ中です。ずっとやってるとA熱も上がってきます(単純)
てな訳でこちらを更新です。今回は第2話で、ドラグナーメイン。
管理人はドラグナーが参戦してる作品はMX以外(つまりAとGC)をプレイしましたが、この夢主はそれをやってない、という設定です。分かりづらくてすみません。
それと、このゲームでは主人公(アクセルorラミア)が関わらないパートの会話もあるのですが、この連載では夢主の一人称が前提なので、夢主が関わってないところはあえてカットしてます。
「話が余計分かりづらいわっ!」というツッコミはあるでしょうが、できる限りの補足をするつもりなのでご了承ください。
それではっ!
2007.09.01 柾希
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